創薬テクノロジーの研究課題

B. 創薬テクノロジーの研究課題

B1. DDS関連技術 

B1-1 核酸医薬を臓器・組織選択的に運ぶ新規デリバリー技術またはターゲティングするリガンドの提案(説明動画

アンチセンス核酸、siRNAなどの核酸医薬を特定の臓器・組織(例えば、中枢、肺、腎臓、癌、免疫細胞、心臓など)において作用させることができる新規デリバリー技術またはターゲティングリガンドを募集します。局所投与の場合でも特定の小器官や細胞へのデリバリーが可能であれば対象となります。

(注意)
肝臓実質細胞へのデリバリーは対象外とします。

B1-2 ナノ粒子を利用して中枢やがんに薬物を送達する技術(説明動画

全身・局所投与後に中枢やがんに薬物を効率的に送達もしくは作用発現させるためのナノ粒子を利用した新規技術を募集します。

  • 送達する薬物の例:幅広いモダリティを対象としますが、特に低分子、核酸、ペプチド、蛋白を対象
  • 技術開発の例:ターゲティングリガンドを付加したリポソーム等のナノ粒子など。リポソーム以外のナノ粒子や外部エネルギーを利用する技術も対象です。
  • (注意)
    ADC技術や細胞間密着結合を開口するような技術は対象外です。中枢に関しては血液脳関門を通過するとともに通過後に標的細胞に送達できる技術が、 がんに関してはがん細胞選択的に送達できる技術が望ましいです。

    B1-3 局所作用を企図した局所投与製剤に関する技術(説明動画

    低・中・高分子化合物の局所作用を企図した局所投与製剤化技術を募集します。

  • 技術開発の例:ペプチドなどの中分子、核酸、タンパク質や抗体などの経皮吸収促進技術(非侵襲的なもの)、経肺投与技術(デバイス技術含む)。皮膚や肺以外の、全身循環系からの移行が困難な部位への直接投与可能な技術(口腔粘膜、内耳、関節などへの投与技術)も含みます。頻回投与が困難な場合は、持続性や徐放性の付与を必須とします。局所への分布に加え、標的細胞内への移行を促進する技術。Nose to brainや髄腔内投与等の中枢送達技術も対象とします。
  • (注意)
    分子改変技術(脂質修飾、糖鎖修飾など)は対象外とします。

    B2. モダリティに基づく技術 

    B2-1 新たな合成手法を用いて、ユニークな化合物ライブラリーを構築する技術に関する研究(説明動画

    今までにはない低分子(天然物・ペプチドを除く)ライブラリーを構築できるユニークなライブラリー構築技術を募集します。

    技術の例:電気化学反応、光化学反応、酵素反応、等、これまで多検体合成に用いられなかった有機合成反応を用いるライブラリー構築手法

    B2-2 特定の細胞に特異的に発現するタンパク質に対して、選択的に結合する低分子化合物群(説明動画

    疾患に関連する特定の細胞内に特異的に発現するタンパク質に対して、選択的に結合する低分子化合物を募集します。以下の条件を満たす研究を期待します。

    • タンパク質は、正常細胞と比較して病原細胞に選択的に発現していること(100倍以上の選択性)
    • タンパク質は、十分量を発現していること(50nM以上)
    • 低分子化合物は、そのタンパク質に他のタンパク質に比べて十分な選択性で結合すること(100倍以上の選択性)
    • B2-3 RNAに結合して薬効を発揮する低分子化合物の取得に関する研究(説明動画

    低分子化合物とRNAの結合により、翻訳制御・スプライシング制御・RNA分解を誘発させる新しい技術や標的部分配列の選定に関する研究を募集します。

      B2-4 mRNAの量や塩基配列を操作可能な新規メカニズムの核酸医薬の技術

    以下を満たす化学合成核酸を用いた新規技術を募集します。

      • 転写・スプライシング・翻訳などに関わるRNAと相互作用する酵素等との相互作用をメカニズムとする
      • mRNAの量(または、タンパク質の量)の調整あるいは塩基配列変換を達成できる

    (注意)
    RNase H、Ago2、ADARに関する技術は対象外とします

    B2-5 mRNAの量や塩基配列を操作可能な新規メカニズムの核酸医薬の技術(説明動画

    In vivoスクリーニングを指向した新規のAAV capsidライブラリー技術に関する研究を募集します。

    (注意)
    既に文献等で報告されているようなバーコードを用いたランダムペプチド挿入ライブラリーやシャッフリングライブラリーに関する研究は対象外とします

    B2-6 ウイルスベクターの発現量または発現持続性の向上に寄与する新規技術に関する研究(説明動画

    遺伝子治療等製品に活用できる目的遺伝子発現向上、または長期安定発現(サイレンシングされにくい等)に寄与する新規技術に関する研究を募集します。

    B2-7 ウイルスベクター等に応用可能な遺伝子発現抑制に関する新規技術(説明動画

    標的遺伝子の発現や翻訳を配列特異的かつ高効率に抑制できる技術を募集します。ウイルスベクターへの搭載を想定しています。

    (注意)
    CRISPR等の既知タンパク質に関連する研究は対象外とします

    B2-8 CNS局所投与を想定したウイルスベクターの脳組織中の感染分布、感染効率を評価するためのヒト脳組織を用いた評価系に関する技術・研究(説明動画

    CNS指向性のある新規ウイルスベクターのヒト中枢での感染性や分布を予測するための評価系に関する研究を募集します。大槽内投与等の脳への局所投与を想定したベクターの予測評価系、ヒト脳組織を用いたヒトへの外挿性の高い評価系を希望します。ウイルスベクターの研究実績がない場合でも、ヒト脳組織を用いたユニークな評価系に関する研究は対象とします。

    (注意)
    静脈内の全身投与における評価系、動物組織を用いた評価系は対象外とします

    B3. 新規創薬技術 

    B3-1 中分子の標的結合状態、または膜透過時における3次元配座の予測に関する研究(説明動画

    Targeted Protein degraderのような中分子(大環状化合物を除く)について、標的への結合状態における活性配座の予測手法、または膜透過時の配座予測手法に関する技術を募集いたします

    (注意)
    Dockingなど標的タンパク質側の構造情報を利用するアプローチは対象外とします

    B3-3 マルチオミクスデータからの新規創薬標的探索技術(説明動画

    血液がんを除くがんに特化したフェノタイプと結びついたマルチオミクスデータを用いた新規創薬標的探索技術および、競争優位性のあるフェノタイプ(患者サンプルまたはユニークな疾患モデル細胞)と結びついたマルチオミクスデータに関する研究を募集いたします

    (注意)
    トランスクリプトームのみを用いた解析技術は対象外とします。ただし、競争優位性に繋がるオリジナルデータとセットで提供されるのであればその限りではありません

    B3-4 生体組織イメージングに関する新規可視化技術および新規イメージングプローブ(説明動画

    生体組織イメージングにおいて下記の新規技術に関する研究を募集します。

    • 細胞内環境変化検出プローブ(一重項酸素、リン酸化など)
    • 従来よりも高解像度・高感度の蛍光・発光・MRI・PETイメージング
    • ラマン分光やイメージング質量分析法などの無標識体に対するイメージング
    • イメージングとオミクス解析を組み合わせることのできるプローブ
    • B3-5 超高タンパク結合化合物の非結合型分率評価手法(説明動画

    血漿タンパクあるいは組織への非特異的結合が極めて高い(>99%)化合物の非結合型画分を高精度かつ高スループットで評価する試験系を募集します。

      B3-6 組織由来extracellular vesicles (exosomesを含む)の単離技術(説明動画

      ヒトの血清・血漿からextracellular vesicles (exosomes を含む)を効率よく、高純度で単離可能な新規技術を募集します。

      組織とは、心臓、肝臓、脳などの臓器及び、神経細胞やグリア細胞などの各臓器に存在する細胞も含みます。

      (注意)
      以下の研究は対象外とします
      ・in vitro培養細胞からextracellular vesicles (exosomes を含む)単離する技術
      ・組織ホモジネートから直接extracellular vesicles (exosomesを含む)を単離する技術

      B3-7 Extracellular vesicles(exosome)が関与する毒性・副作用(特に間質性肺疾患)発現メカニズムに関する研究(説明動画

      毒性・副作用発現もしくはその低減作用のメカニズムとしてパラクライン的に関与する細胞外小胞(エクソソーム)に関する研究を募集します。特に回収した細胞外小胞に内封されている因子の解析方法、及び細胞外小胞を用いた毒性評価法に興味があります。間質性肺疾患を対象とした研究を優先します。

        B3-8 非培養の微生物分析技術及びVBNCの研究(説明動画

        医薬品、医薬品製造環境、または製薬用水に存在する微生物、主にVBNC(Viable but non culturable:生きてはいるが培養できない微生物)について、群集構造の網羅的解析、定量が可能である非培養の微生物分析技術を募集します。本分析技術を用いて、VBNCについては病原性の有無を推定したいと考えています。ハイスループット・シーケンシング等、微生物の核酸を標的とした手法を候補の一つと考えておりますが、手法は限定しません。

        B3-9 タンパク質性医薬品のパラトープ解析

        モノクローナル抗体を中心としたタンパク質性医薬品について、ターゲット上の結合サイト(エピトープ)は薬効発現の観点で重要ですが、同時に、タンパク質性医薬品上の結合サイト(パラトープ)についても、その医薬品の品質特性を決める重要な情報です。そこで、パラトープを実験的に解析・同定する手法を募集します。汎用性、簡便性、同定の分解能が既存技術と比べ優れているものを優先します。

        技術の例:抗体を対象とする場合、抗原や、Fc レセプターなどの機能分子と結合する位置を同定する技術

        (注意)
        タンパク質性医薬品の遺伝子工学的な手法(アラニンスキャニング法など)の適用は対象外とします

        B3-10 生体高分子の溶液NMRを高感度化する技術  >> ニーズの詳細はこちら

        溶液NMRにおいてμM以下のタンパク質、核酸などの生体高分子を対象に、動的核偏極(DNP)など高感度検出を可能にする技術を募集します。

        B3-11 次世代型ヘルスケアサービスに資するデジタル技術・ビジネスモデルに関する応用研究(説明動画

        AI(AGI:汎用人工知能)、センシング技術、メタバースなどを効果的に利活用した、患者さん・一般生活者に寄り添う次世代型ヘルスケアサービスに資する技術開発、及びビジネスモデル開発を募集します。

        当社は、「Healthcare as a Service」(HaaS)という概念で、「多様なデータや先進技術を活用し、一人ひとりに寄り添った最適な健康・医療サービスを提供すること」に注力しています。

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